TOP MESSAGEトップメッセージ

カーリットグループは持続可能な社会に貢献する企業グループとして、一丸となって挑戦を続けてまいります。

株主の皆さまには平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。当社グループの2024年度(2024年4月1日から2025年3月31日まで)が終了いたしましたので、決算の概要および今後の事業展開につきましてご報告申し上げます。

代表取締役兼社長執行役員

金子洋文

2025年3月期の業績について

2025年3月期の業績としては、売上高369億1千4百万円、営業利益30億4千6百万円、経常利益33億2千万円、親会社株主に帰属する当期純利益25億7千万円という結果になりました。 2024年度は、全体として堅調な市場環境であったと振り返っています。化学品セグメントでは、紙パルプの漂白工程に使われる塩素酸ナトリウムや、ロケット固体推進薬原料である過塩素酸アンモニウム、電子部品向けの電解液や導電性高分子の販売は好調に推移しました。しかしながら、シリコンウェーハ分野では顧客の生産・在庫調整の影響を受け、ボトリングセグメントでは生産数量減少の影響を受け、減益となりました。販売好調な事業セグメント・分野においても、人件費・エネルギーコスト上昇等の影響を受け利益率が低下していることから、2024年度の連結営業利益は前年度には及ばず、30.4億円となりました。 最終年度となった中期経営計画「Challenge2024」の期初目標であった営業利益30億円は2年連続で達成することができましたが、再設定した営業利益目標38億円に対しては道半ばとなりました。

連結業績ハイライト(単位:百万円)

  • 売上高

    36,914

    (前年同期比0.9%増)

  • 営業利益

    3,046

    (前年同期比9.1%減)

  • 経常利益

    3,320

    (前年同期比7.8%減)

  • 親会社株主に帰属する
    当期純利益

    2,570

    (前年同期比1.1%減)

今後の取り組みについて

中期経営計画「Challenge 2024」については、「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を経営方針とし、5つの戦略を掲げておりました。
戦略1「成長事業の加速化」については、成長領域に定めていたシリコンウェーハ分野や電子材料分野の市場環境が減速したことから、高付加価値品の展開や開発が遅れ、計画の見直しを余儀なくされました。
戦略2「研究開発の拡充」については、開発分野を半数に絞り込むことで効率化をはかり、研究所を事業ポートフォリオにあわせた3拠点化するなど、新中期経営計画につながる取り組みを進めました。
戦略3「既存事業の収益性改善」については、期初目標であった営業利益30億円は達成できましたが、利益性の向上、収益性の向上については道半ばとなりました。
戦略4「ESG経営の高度化」については、健康経営優良法人の認定取得や太陽光発電システムの導入など、様々な取り組みを推進・実行しています。
戦略5「事業インフラの再構築」については、IT環境の拡充に加え、カーリットホールディングス(株)、日本カーリット(株)、(株)シリコンテクノロジーの三社合併による事業持株会社体制へと見直しを実行しました。
以上の5つの戦略、そして事業ポートフォリオを意識した経営を推進した結果として、営業利益は2年連続で30億円を超えることができ、利益重視の取り組みが実現したと考えています。
また設備投資においても、過塩素酸アンモニウムの増産工事に着手しつつ、既存事業群の老朽化更新などを着々と実行しました。 総じて、前中期経営計画では、既存事業にて営業利益30億円台を稼ぐ体質を作りつつ、新たなステージへとつながる投資に着手することができたと評価しています。

2026年3月期の見通しについて

2025年度は、2024年度比増収増益となる見通しです。化学品セグメントは、半導体サイクルが回復基調であるものの、顧客の小口径シリコンウェーハの在庫消化が緩やかな進捗であるため、シリコンウェーハ分野の回復は2025年度下期以降に見込みます。一方、自動車向け製品や基礎化学品関連製品などの販売は前期同様に堅調に推移する見通しです。ボトリングセグメントは、2025年度に行う定期修繕工事に伴う費用が発生しますが、例年同様の費用規模となる想定であり、販売は堅調に推移する見通しです。金属加工セグメントおよびエンジニアリングサービスセグメントについては、国内経済動向にあわせ、前期同様堅調に推移すると予想しています。

2025年3月期連結業績予想(単位:百万円)

※表の部分は横にスクロールできます。

売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益
上期 18,500 1,100 1,200 800
通期 39,000 3,100 3,350 2,700

2035年のカーリットのありたい姿

グループ経営理念である「信頼と限りなき挑戦」のもとで長期展望を見据え、当社の2030年にありたい姿を「持続可能な社会に貢献するために、"化学"と"技術"の力を合わせ、人びとの幸せな暮らしを支えたい」と定めました。また、新たに事業ポートフォリオ経営を導入し、当社事業群を「注力領域」「育成領域」「基盤領域」という3つの領域に分け、それぞれの領域に適した戦略を推進し、「利益ある成長」の達成を目指します。
このありたい姿の実現に向け、当社グループは2022年度を初年度とした中期経営計画「Challenge2024」を策定いたしました。経営方針として「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、その方針に沿った「成長事業の加速化」、「研究開発の拡充」、「既存事業の収益性改善」、「ESG経営の高度化」、「事業インフラの再構築」という5つの戦略を軸に、具体的な施策を実行し、当社グループの社会貢献およびコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を進めることで、「利益ある成長」と「ESG」を具現化し、社会に信頼される企業グループを目指してまいります。

中期経営計画「Challenge2027」

「Challenge2027」から、事業ポートフォリオの見直しを行いました。「育成領域」、「基盤領域」を改めて整理するとともに、新たに「重点領域」を定めました。重点領域は、さらなる収益の拡大を見込む注力事業と、注力領域への転換を期待する育成事業の両方の特徴をもつ領域です。 また「投資促進」にふさわしい投資計画を策定しております。 中計期間中の設備投資総額は210億円と設定しており、特に重点領域となる過塩素酸アンモニウムの増産投資、宇宙・防衛固体推進薬の製造設備の新設には90億円の投資を計画しております。パイロットプラントから脱却し、本格生産設備への投資を進めることで固体推進薬の製造・量産を実現する計画です。将来的な宇宙開発市場の拡大、そして日本の空を守る防衛需要の拡大を見据え、「重点領域」として力を入れてまいります。 加えて、「Challenge2027」では「研究開発戦略」や「人財戦略」、「財務戦略」について計画しております。中計の各種取り組みの実行と達成を通じ、成長投資、社員への還元、株主還元をバランスよく実施してまいります。 創業100年を超えた当社が、次の100年を築いていくため、経営理念である「頼と限りなき挑戦」のもと、常に新しいカーリットを目指してまいります。