消防法危険物確認試験について
消防法における危険物の規制は、1988年5月の改正により、危険物か非危険物かの判定並びに指定数量の決定等すべてが試験によって判断されることになっています。危険物はその性状によって第1類から第6類に分類され、下表に示した危険物は当然のことながら、危険物として指定されている物質を僅かでも含んでいる混合物についても確認試験を実施し、その結果により危険度をランク別に規制することになっています。実際に確認試験を行うためには、適切な試験機器と専門的知識・経験が必要です。
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| 種別 | 性質 | 品名 |
|---|---|---|
| 第1類 |
酸化性固体 |
その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの |
| 第2類 |
可燃性固体 |
その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの |
| 第3類 |
自然発火性物質 |
その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの |
| 第4類 |
引火性液体 |
|
| 第5類 |
自己反応性物質 |
その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの |
| 第6類 |
酸化性液体 |
その他のもので政令で定めるもの、これらを含有するもの |
| 指定可燃物 |
指定可燃物 |
|
2種類以上の危険物に該当する場合、優先度は下記となります。
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| 第1類 | 第2類 | 第3類 | 第4類 | 第5類 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1類 | 第2類 | 第5類 | |||
| 第2類 | 第2類 | 第3類 | |||
| 第3類 | 第3類 | 第3類 | |||
| 第4類 | 第3類 | 第5類 | |||
| 第5類 | 第5類 | 第5類 |
消防法危険物確認試験について詳しくはカタログ(PDF)にてご確認ください。
カタログをダウンロード第1類(酸化性固体)

酸化力の潜在的な危険性及び衝撃に対する感度を評価します。いずれの試験においても試験物品と還元剤との混合により危険性のランクを評価します。試験は、粉粒状の場合は試験Ⅰとし、その他の物品(成形品等:目開き2mmの篩(ふるい)を通過する量が10%未満の場合)は試験Ⅱで評価します。
試験Ⅰ(試験体:粉粒状)
燃焼試験(400g)
| 標準物質 | 臭素酸カリウム、過塩素酸カリウム |
|---|---|
| 還元剤 | 木粉 |
| 評価 | 【ランク1】 燃焼時間が臭素酸カリウム以下 【ランク2】 燃焼時間が臭素酸カリウムより長く過塩素酸カリウム以下 【ランク3】 燃焼時間が過塩素酸カリウムより長い |
落球式打撃感度試験(3g)
| 標準物質 | 塩素酸カリウム、硝酸カリウム |
|---|---|
| 還元剤 | 赤りん |
| 評価 | 【ランク1】 塩素酸カリウムとの比較で半数以上爆発 【ランク2】 塩素酸カリウムとの比較で半数以上不爆、硝酸カリウムとの比較で半数以上爆発 【ランク3】 硝酸カリウムとの比較で半数以上不爆 |
総合評価
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| 落球試験 【ランク1】 |
落球試験 【ランク2】 |
落球試験 【ランク3】 |
|
|---|---|---|---|
| 燃焼試験 【ランク1】 |
Ⅰ | Ⅰ | Ⅰ |
| 燃焼試験 【ランク2】 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
| 燃焼試験 【ランク3】 |
Ⅰ | Ⅲ | Ⅳ |
- Ⅰ
- 第1種酸化性固体(指定数量50㎏)
- Ⅱ
- 第2種酸化性固体(指定数量300㎏)
- Ⅲ
- 第3種酸化性固体(指定数量1,000㎏)
- Ⅳ
- 第1類の危険物には該当せず
試験Ⅱ(試験体:成形品等:目開き2mmの篩を通過する量が10%未満の場合)
大量燃焼試験(3,000g)
| 標準物質 | 過塩素酸カリウム |
|---|---|
| 還元剤 | 木粉 |
| 評価 | 【危険性有】 燃焼時間が過塩素酸カリウム以下 【危険性無】 燃焼時間が過塩素酸カリウムより長い |
鉄管試験(2,500ml)
| 還元剤 | セルロース粉 |
|---|---|
| 評価 | 【危険性有】 鉄管が完全に裂ける 【危険性無】 鉄管が完全に裂けない |
総合評価
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| 鉄管試験 【危険性有】 |
鉄管試験 【危険性無】 |
|
|---|---|---|
| 大量燃焼試験 【危険性有】 |
※ | Ⅲ |
| 大量燃焼試験 【危険性無】 |
Ⅲ | Ⅳ |
- ※
- 試験物品を粉砕して、試験Ⅰを実施し評価する
- Ⅲ
- 第3種酸化性固体(指定数量1,000kg)
- Ⅳ
- 第1類の危険物には該当せず
第2類(可燃性固体)

火炎による着火の危険性及び引火の危険性を評価します。
小ガス炎着火試験(40ml)
| 評価 | 【第1種可燃性固体(指定数量100kg)】 3秒以内に着火 【第2種可燃性固体(指定数量500kg)】 3秒を超えて10秒以内に着火 【第2種の危険物に該当せず】 10秒以内では着火せず |
|---|
セタ密閉式引火点試験(50g)
| 評価 | 【引火性固体(指定数量1,000kg)】 引火点40℃未満 【第2類の危険物には該当せず】 引火点40℃以上 |
|---|
第3類(自然発火性・禁水性物質)

空気中での発火の危険性及び水と接触して発火もしくは可燃性ガスを発生する危険性を評価します。いずれの試験においても少量試験から大量試験の手順で実施します。
自然発火性試験(100ml)
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| 固体 | 試験方法 | 1.磁製カップ法 2.落下法 |
|---|---|---|
| 評価 | 【ランク1】 「1.磁製カップ法」「2.落下法」で自然発火 【危険性無】 「1.磁製カップ法」「2.落下法」で自然発火せず |
|
| 液体 | 試験方法 | 1.磁性カップ法 2.濾紙法 |
| 評価 | 【ランク1】 「1.磁製カップ法」「2.濾紙法」で自然発火 【ランク2】 「2.濾紙法」で濾紙を焦がす 【危険性無】 「1.磁製カップ法」「2.濾紙法」では自然発火せず、 「2.濾紙法」で濾紙を焦がさない |
水との反応性試験(30g)
| 試験方法 | 1.微量ビーカー法 2.少量ビーカー法 3.発生ガス量測定 |
|---|---|
| 評価 | 【ランク1】 「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で自然発火 【ランク2】 「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で小炎による着火 【ランク3】 「3.発生ガス量測定」で可燃性ガスの発生量が200L/kg/hr以上 【危険性無】 「1.微量ビーカー法」「2.少量ビーカー法」で自然発火せず、小炎による着火せず、「3.発生ガス量測定」で可燃性ガスの発生量が200L/kg/hr以下 |
総合評価
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| 水との反応性試験 【ランク1】 |
水との反応性試験 【ランク2】 |
水との反応性試験 【ランク3】 |
水との反応性試験 【危険性無】 |
|
|---|---|---|---|---|
| 自然発火性試験 【ランク1】 |
Ⅰ | Ⅰ | Ⅰ | Ⅰ |
| 自然発火性試験 【ランク2】 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅱ | Ⅱ |
| 自然発火性試験 【危険性無】 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ |
- Ⅰ
- 第1種自然発火性及び禁水性物質(指定数量10kg)
- Ⅱ
- 第2種自然発火性及び禁水性物質(指定数量50kg)
- Ⅲ
- 第3種自然発火性及び禁水性物質(指定数量300kg)
- Ⅳ
- 第3類の危険物には該当せず
第4類(引火性液体)

引火の危険性を評価します。
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| 評価 | 指定数量 | |
|---|---|---|
| 特殊引火物 | 引火点が-20℃以下で沸点40℃以下 | 50L |
| 引火点が100℃未満で発火点が100℃以下 | 50L | |
| 第一石油類 | 引火点が21℃未満(非水溶性) | 200L |
| 引火点が21℃未満(水溶性) | 400L | |
| 第二石油類 | 引火点が21℃以上70℃未満(非水溶性) | 1,000L |
| 引火点が21℃以上70℃未満(水溶性) | 2,000L | |
| 第三石油類 | 引火点が70℃以上200℃未満(非水溶性) | 2,000L |
| 引火点が70℃以上200℃未満(水溶性) | 4,000L | |
| 第四石油類 | 引火点が200℃以上250℃未満 | 6,000L |
| 指定可燃物・可燃性液体類 | 引火点が250℃以上 | - |
| アルコール類 | 炭素原子数が1~3までの飽和1価アルコール | 400L |
| 動植物油類 | 動物の脂肉等または植物の種子、もしくは果肉から抽出したもの | 10,000L |
第4類危険物の確認試験は多数の種類がありますが、全ての試験を行う必要はなく、各試験の結果によってそれぞれ行うべき試験が決まります。

アルコール類

第5類(自己反応性物質)

引火の危険性を評価します。
圧力容器試験(150g)
| 評価 | 【ランク1】 オリフィス径9mmの試験で破裂回数5/10以上 【ランク2】 オリフィス径9mmの試験で破裂回数4/10以下、オリフィス径1mmの試験で破裂回数5/10以上 【ランク3】 オリフィス径1mmの試験で破裂回数4/10以下 |
|---|
熱分析試験(3g)
| 標準物質 | 過酸化ベンゾイル(BPO)、2-4-ジニトロトルエン(DNT) |
|---|---|
| 評価 | 【危険性有】 BPO及びDNTより求めた判定線上またはこれより上 【危険性無】 BPO及びDNTより求めた判定線より下 |
総合評価
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| 圧力容器試験 【ランク1】 |
圧力容器試験 【ランク2】 |
圧力容器試験 【ランク3】 |
|
|---|---|---|---|
| 熱分析試験 【危険性有】 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅱ |
| 熱分析試験 【危険性無】 |
Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ |
- Ⅰ
- 第1種自己反応性物質(指定数量10kg)
- Ⅱ
- 第2種自己反応性物質(指定数量100kg)
- Ⅲ
- 第5類の危険物には該当せず
第6類(酸化性液体)
酸化力の潜在的な危険性を評価します。
燃焼試験(300ml)
| 標準物質 | 90%硝酸水溶液 |
|---|---|
| 還元剤 | 木粉 |
| 評価 | 【酸化性液体(指定数量300kg)】 燃焼時間が90%硝酸水溶液以下 【第6類の危険物には該当せず】 燃焼時間が90%硝酸水溶液より長い |
指定可燃物

第2類確認試験において引火点が40℃以上、第4類確認試験において引火点が250℃以上の場合または所定の条件を満たす場合は非危険物になりますが、指定可燃物としての適用を受ける場合があります。そのような物質の場合は以下の試験を行い評価します。
燃焼熱量測定(20g)、融点測定(3g)、酸素指数測定(100g)
全ての試験を行う必要はなく、以下のフローに従って試験を実施します。
第2類及び指定可燃物
