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カーリットグループは持続可能な社会に貢献する企業グループとして、一丸となって挑戦を続けてまいります。

株主の皆さまには平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。ここに、当社グループの2022年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)が終了いたしましたので、決算の概要および今後の事業展開につきましてご報告申し上げます。

代表取締役兼社長執行役員

金子洋文

2023年3月期の業績について

2023年3月期の業績としては、売上高360億8百万円、営業利益26億4千万円、経常利益29億1千万円、親会社株主に帰属する当期純利益22億4千6百万円という結果になりました。この要因といたしましては、グループ全体として原材料価格・エネルギーコストの高騰の影響があったものの、化学品事業部門における化成品分野やセラミック材料分野および産業用部材事業部門における耐熱炉内用金物や各種金属スプリング・プレス品が好調に推移したことが挙げられます。化学品事業部門においては、電子材料分野がパソコン需要減退の影響を受けたものの、化薬分野における高速道路用信号焔管や化成品分野における塩素酸ナトリウム(紙パルプ漂白剤)や過塩素酸アンモニウム(ロケット・防衛用ミサイル推進薬原料)などが好調に推移しました。また、産業用部材事業部門におけるシリコンウェーハは中国ロックダウンの影響を受けましたが、耐熱炉内用金物が都市ごみ焼却場向けに好調に推移、各種金属スプリング・プレス品も建機向け需要の好調により増収増益となりました。
なお、今期は投資有価証券売却益4億2千4百万円を特別利益に計上いたしました。加えて、一部のグループ会社株式の売却に伴う関係会社株式売却損8千2百万円を特別損失に計上しています。

連結業績ハイライト(単位:百万円)

  • 売上高

    36,008

    (前年同期比6.2%増)

  • 営業利益

    2,640

    (前年同期比5.3%増)

  • 経常利益

    2,910

    (前年同期比6.1%増)

  • 親会社株主に帰属する
    当期純利益

    2,246

    (前年同期比3.8%減)

2024年3月期の見通しについて

2024年3月期の業績につきましては、増収増益を見込んでおります。化学品事業部門は、中国経済の影響から電子機器関連材料の需要の落ち込みはある一方、日本国内の経済成長を受け、自動車向け製品や基礎化学品関連製品の販売は堅調に推移し、ボトリング事業部門においてもインバウンド需要回復によって国内飲料消費が増え、増収増益と予想しています。また、産業用部材事業部門およびエンジニアリングサービス事業部門においても、国内経済の動向に合わせ、堅調に推移すると予想しています。

2024年3月期連結業績予想(単位:百万円)

※表の部分は横にスクロールできます。

売上高 営業利益 経常利益 親会社株主に帰属する当期純利益
上期 18,000 800 900 750
通期 38,000 2,700 2,900 2,300

カーリットグループは、
中期経営計画「Challenge2024 ローリングプラン2023」を策定し、
市場から評価していただける企業となるべく様々な取り組みを推進してまいります。

今後の取り組みについて

中長期的な経営ビジョン

グループ経営理念である「信頼と限りなき挑戦」のもとで長期展望を見据え、当社の2030年にありたい姿を「持続可能な社会に貢献するために、"化学"と"技術"の力を合わせ、人びとの幸せな暮らしを支えたい」と定めました。また、新たに事業ポートフォリオ経営を導入し、当社事業群を「注力領域」「育成領域」「基盤領域」という3つの領域に分け、それぞれの領域に適した戦略を推進し、「利益ある成長」の達成を目指します。
このありたい姿の実現に向け、当社グループは2022年度を初年度とした中期経営計画「Challenge2024」を策定いたしました。経営方針として「事業ポートフォリオの最適化により企業価値の向上を目指す」を掲げ、その方針に沿った「成長事業の加速化」、「研究開発の拡充」、「既存事業の収益性改善」、「ESG経営の高度化」、「事業インフラの再構築」という5つの戦略を軸に、具体的な施策を実行し、当社グループの社会貢献およびコーポレート・ガバナンスのさらなる充実を進めることで、「利益ある成長」と「ESG」を具現化し、社会に信頼される企業グループを目指してまいります。

中期経営計画「Challenge2024 ローリングプラン2023」

中計初年度の2022年における経営環境の変化や最近の業績動向をふまえ、中期経営計画「Challenge2024 ローリングプラン2023」を策定いたしました。基本方針や戦略に大きな変更はありませんが、「ローリングプラン2023」ではPBR向上を強く意識し、マーケットから評価していただけるような戦略を推進してまいります。PBR向上を目指し、ROEとPERを高めるための具体的な施策を追加いたしました。ROEに対する施策では、「営業利益率+3%~up」の達成を目指すとともに、保有するキャッシュや資産の運用についても見直しを行うことで、今まで以上に資本収益性を意識した取り組みを進めてまいります。

PERに対する施策では、成長戦略の推進とともに、財務・非財務両面からの取り組みを通じ、資本コストの低減を検討してまいります。「Challenge2024」でも掲げていた研究拠点の整備や工場のイノベーションを進めるとともに、人的資本投資や人事制度改革といった非財務面の取り組みを強化します。それに加え、IRやSRといった情報発信についても、ターゲットをしぼりながら情報を充実させ、より多くの方に弊社の魅力を理解していただきたいと考えております。

「Challenge2024 ローリングプラン2023」を達成したあかつきには、新たに増やした「3%分の利益」を、「3等分」することをコンセプトとし、さらなるアップデートテーマを検討してまいります。事業ポートフォリオ経営にもとづき、注力・育成領域の投資に1%、株主還元に1%、社員への還元として1%を、それぞれ現在の計画に加えて投資、還元することで、カーリットホールディングスをより活力のあるグループにし、2030年のあるべき姿を実現いたします。

株主の皆さまへ

当社は塩水の電気分解技術を起点として、長きにわたり日本の産業を支えてまいりました。また、日本の産業構造が変化するたび、当社の創業者の理念である「九転十起」のもと奮闘努力を重ね、様々な事業を展開してまいりました。現在にあっても、事業活動や社内制度改革といった様々な課題に対して企業は適応していく必要があります。2030年のありたい姿の実現に向かって、私自身が先頭に立ち、カーリットグループ一丸となって邁進してまいります。株主の皆さまには、引き続きカーリットホールディングスにお力添えを賜りたく、心よりお願い申し上げます。