SAFETY/QUALITY安全・品質への取り組み

安全対策

グループ全社の生産・品質リスク管理

リスク管理体制

当社生産・品質統括部では、グループ各社の製品の安定生産や品質を脅かすリスクの管理、低減に向けた業務を行っています。主な活動として、製造部門を有する事業会社の品質管理・品質保証責任者が参加するグループ生産・品質会議を毎月開催しています。この会議では、各社から報告される事故やクレームの原因分析と情報共有を行います。また、事故やクレームに潜むリスク要因を明らかにし、関連情報および対策の水平展開を図ることで、同様の事象の再発防止を図ります。異なる業種で働く社員が各々の角度から事象を捉えることで、新たな気づきが得られる貴重な場となっています。短期間のうちに同様の事象が頻発した場合、休業災害を伴う場合、損害金額が大きい場合等の重大な事故・クレームが発生した際には、事業会社各社と個別に議論し、解決策を見出しています。当部の担当者が各社の生産現場を訪問する頻度を増やし、事業会社担当者とともに品質上のリスク検出・管理、再発防止対策の有効性の確認も併せて行っていきます。

リスクへの対応

輸送中の事故により原材料や製品を調達できなくなる、旧式化した設備の代替品が見つからず生産を継続できなくなる、環境汚染を発生させてしまい生産を止めざるを得なくなるなど、日々の事業活動を妨げる様々なリスクが想定されます。それらリスクへの対応として、リスクが顕在化する頻度、顕在化した場合の損害金額をグループ各社で想定し、経営に対する影響を定量的に評価することによって優先順位をつけ、あらかじめ対策を立案・準備する「リスク影響評価」も推進しています。これは、製造部門を持たない事業会社においても、顧客に対するサービスの提供を妨げるリスクを対象に実施しています。リスク影響評価の結果は、経営層が参加する年2回のグループ生産・品質会議の特別会議にて報告し、予算措置等の経営判断をスピーディーに行えるようにします。さらに、グループ全体に影響が及ぶことが想定されるような重大なリスクが検出された場合は、事業運営に関わるリスク全般を議論するグループリスクマネジメント委員会にも報告されます。

リスクマネジメント体制

安全、衛生的な職場環境の整備

安全活動

前述のグループ生産・品質会議は、生産活動に関わる安全活動にも取り組んでいます。当社グループは、業種の異なる会社が集まっているため、ある会社で発生した事故やクレームの対策を、そのまま別会社に展開できないケースがあります。しかし、グループ生産・品質会議での議論を通じて異なる業種の生産工程を理解することで、新たな気づきを発見することもあり、グルー プ全体のレベルアップにつながっています。安全活動は、グループ各社ごとに、労働安全衛生法に則った安全衛生関連の会議や防災訓練などを実施しています。業種が比較的近いグループ会社間では、相互に工場を訪問し設備の安全対策について意見を出し合うなど情報共有に努めています。

安全な職場へ

日本カーリット㈱では、過去に発生した事故や災害などをカレンダー化することで記録としてまとめ、形骸化しないような取り組みを行っています。また、危険に対する感受性を高めることを目的に、事故に遭ったときの感覚を模擬的に体験できる安全体感装置を導入しています。従来の安全教育は、安全教育用の映像教材視聴を取り入れた講義や標準書を用いたOJTなどが中心であったため、事故や災害を身近に感じることにまでは至りませんでした。しかし、安全体感装置を導入したことにより、日常の身近な作業のなかに潜んでいる危険を実体験できる教育につなげることができました。この施設は他のグループ会社でも活用されており、グループ全体の安全に寄与するように運用されています。そのほかのグループ会社においても、工場敷地のハザードマップを作成し、協力会社も含めて活用すること、作業者全体のリスク低減活動、主要な取引先の安全教育への参加など、会社ごとに様々な活動を行っています。幅広い安全活動を行っているところではありますが、2022年度は休業災害が2件発生してしまいました。このような重大事故は勿論でありますが、事故や災害を撲滅すべく様々な考慮を行い、グループ全体で改善活動を一層推進します。それにより、生産作業だけでなく職場環境の改善にも結び付くと考えています。

安全体感装置の例

  • 巻き込まれ安全体感装置
  • 爆発安全体感装置
  • 水圧安全体感装置
  • 挟まれ安全体感装置
  • 滑り・転倒安全体感装置

※表の部分は横にスクロールできます。

項目 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
休業災害件数 2件 3件 2件 1件 2件

品質保証

品質クレームの撲滅

当社はCSR基本方針の一つとして品質保証を掲げています。お客さまの信頼と満足を得られるよう、化学品をはじめとする事業分野で積極的に品質向上に取り組んでいます。

クレーム撲滅

当社は「社会との共生」を重要なマテリアリティとし、その社会課題として「安全・安心への貢献」を追求し、品質クレームの撲滅を目標としています。2022年度の品質クレームも前年度から減少しています。当社にはトップシェアを誇る製品もあることから、品質クレームの削減はお客さまからの信頼を得るためには大切な取り組みです。さらに、品質保証体制強化のため、日本カーリット㈱・ジェーシーボトリング㈱・カーリット産業㈱・㈱シリコンテクノロジー・東洋発條工業㈱・㈱総合設計では品質マネジメントシステムの国際規格ISO9001を認証取得し、毎年の審査でも良好な評価を受けています。今後も品質の向上とクレーム撲滅に向けた取り組みを一層強化してまいります。

グループの取り組み

グループ全体では、グループ生産・品質会議において、グループ各社で発生した品質クレームの原因究明を含めたリスク分析を行い、再発防止活動につなげています。業種や規模が様々であり、品質に対する考え方も会社により異なりますが、多様な意見を交換し、議論を重ねることでグループ全体の向上が図れる会議となることを目指しています。品質活動のレベルには会社間での差がみられますが、グループ間の情報共有を強化することでさらなる向上に努めていきます。

クレーム低減

リテーナ外観検査の様子(並田機工㈱)

当社のマテリアリティ「社会との共生」に対応する社会課題として「安全・安心への貢献」を挙げ、その目標として品質クレームの撲滅を掲げています。グループ全体で発生した品質クレームの件数は、2021年度は前年度から減少しており、ここ数年減少が続いています。当社グループには、国内で唯一製造・供給する製品やトップシェアを誇る製品を取り扱う会社もあります。そのような状況からも、お取引先さまからさらなる信頼を得るため、グループ全体で品質クレーム撲滅に向けた取り組みを推進しています。
品質保証体制を維持し向上させるため、日本カーリット㈱・ジェーシーボトリング㈱・カーリット産業㈱・㈱シリコンテクノロジー・東洋発條工業㈱・㈱総合設計では、品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001の認証を取得しています。各社において毎年、審査機関の審査を受審し、品質保証体制が維持されているとの評価を受けています。そのほか、顧客の品質監査を受審した会社もありましたが、良好な評価を受けています。今後も品質の向上とクレーム撲滅に向けた取り組みを一層強化してまいります。

FSSC22000認証取得/ジェーシーボトリング㈱

2020年12月にFSSC22000を認証取得いたしました。FSSC22000(Food Safety System Certification)とは、食品安全マネジメントシステムの一つです。オランダのFSSC(食品安全認証団体)が、消費者に安全な食品を提供することを目的とした食品安全マネジメントシステムの確立を目的としてISO22000(HACCP+PRP)とISO/TS22002シリーズを組み合わせて開発した国際標準規格です。
ジェーシーボトリング㈱では、2007年に厚生労働省が推進した食品安全管理認証制度「総合衛生管理製造過程」(日本版HACCP)(以下、マル総)を認証取得し、食品安全対策に取り組んでまいりましたが、2018年6月に可決した改正食品衛生法によって、2020年6月よりHACCP導入の義務化が決定し、「マル総」は廃止となりました。「マル総」に代わり、国際標準規格であるFSSC22000を認証取得し、国際的に通用する食品安全の確保、製品の安全性証明ならびに対外的な会社の強みとして継続運用していきます。